2006年01月21日

ファミリー   3

恵子との3年ぶりの再会は、なつかしく、楽しくて、あっという間の一日だった。
「毎年どこかで会おうよ。」
「そうね、次は家族ぐるみも楽しいかも。」
そんな会話の後、「じゃあまたね。」と、それぞれの家族のもとへ急いだ。

翌年私達は二人とも身ごもり、二児の母になった。さらに翌々年、恵子は三人目を出産した。
「もう、毎日戦争みたいよ。男の子の年子って、ほんと大変。下の子は夜泣きがひどくて、真ん中は、やきもちやきで。一人が風邪ひくと、順番にほかの子にも移ってしまうし。」
「家なんか、二人でも手を焼いてるのに、恵子よくやるね。」
子どもが昼寝している貴重な時間は、長電話のおしゃべりに費やされた。
「しばらくは、また専業主婦で子育てね。」と私が少し残念そうに言うと、
「でも子どもはかわいいから。同じおなかから生まれたのに一人ひとり違っていて、面白いし、家族5人が並んで寝てると、つくづく幸せかみしめてしまうのよ。」と、やんわりと言うのだった。

次に電話をしたとき、なんだか恵子の声がいつもと違っていた。
子どもが水疱瘡にかかってかゆがって大変だった。といういつもどうりの、とりとめのない会話の後、
「恵子、なんか他に変わったことあったの。ご主人は元気。」と聞いてみた。
「ねえ、佐恵子のだんなは佐恵子にぐちることある。」と聞く。
「そうね、大学を卒業して、なんとか就職して1年もたたないうちに結婚したから、仕事のぐちは毎日のように聞かされたよ。「もうだめだ、辞めたい。」って、何度言ったことか。でもどうして、そんなこと聞くの。」
「最近のうちの人、なんだか変なの。もともと口数の少ない人だったけど、子どもが寝てしまうと私には何も話してくれないの。帰りが遅いのはいつものことなんだけど、夕食の時、私と子どものその日あったことを聞いて、自分のことも少しは話してくれていたのに、この頃はそれがないのよ。ぐちらなくなったというか、心を開かなくなったというか。優しいということに変わりはないんだけど。なんだか少し心配なの。」
「恵子のだんなさんは、5つ年上だから、大人なのよ。お疲れなだけじゃない。でも、よそにぐちる人ができてたらいやね。仕事のストレスで、心もお疲れなのかも。そっとしておいてあげたら。」
「そうね、安らげる家庭にしたいけど、ちび達がいるからそうもいかなくて。いつもざわついていて、散らかっていて。片付けても々、散らかるのよね。」
「恵子、きれい過ぎる家はかえって落ち着かないものよ、適当に手抜きしないと自分がつらくなるよ。良い奥さんで、良いママ過ぎると自分が無くなってしまうと思わない。私は近所の友だちと子連れで遊んだりもするのよ。お誕生会、クリスマス会、お花見会、おひなさま、こどもの日、、、いろんなイベントを考えて、どこかの家へ集まるの。子どもも楽しいし、大人もおしゃべりできて、息抜きできるから。
去年の夏は、4家族でキャンプもしたんだよ。親のほうが楽しんだかも。」
「佐恵子は昔から、イベント好きだったね。周りに友だちも多くていいね。私ももっと、子連れで外へ出かけて行かないとだめね。未だに大阪になじめなくて。」
「恵子なら、きっと良い友だちができるよ。恵子と話すと癒されるもの。でも、恵子を癒してくれる人は、やっぱりご主人かな。」


posted by 佐恵子 at 10:40| Comment(2) | TrackBack(0) | ファミリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やっぱりぐちってもらった方がいいですか?
吹きだまりの家庭でうじうじとしているようで、もっと陽気であっていいんじゃないかと思いますが。
Posted by awakak at 2006年01月21日 13:19
いつもは強気で誇り高い男の人が、ふともらす弱気な本音。それは、心を許した女にしか見せない真実なのではないでしょうか。
それを聞いた女は、それまで以上にその人を愛おしく感じるのです。
「私の前では、肩肘張らない素のあなたでいてほしい。私だけには、本当のあなたをみせてほしい。」
Posted by 佐恵子 at 2006年01月21日 20:01
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