2005年08月17日

いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった  その4

2月になると、3年生は自由登校ということで、私のように専門学校への進学が決まっているような何人かが登校してくるだけで、教室は静まり返っていた。
赤シャツ君は、国立1校だけを受験するらしかった。最後の追い込みの時期にもかかわらず、彼は毎日登校し、毎日1年生の遼子の教室の廊下に立ち、彼女を見ていたようだった。
「遼子、よほどひどいふりかたしたんじゃないの。これで受験に失敗したら、彼立ち直れなくなるんじゃない。嘘でもいいから今だけ優しくしてあげたら。」クラスの女の子にそう言われて、彼女もどんどん追いつめられているようだった。

「もう一度遼子と話しがしたいから、新聞部の部室を貸してほしい。」と赤シャツ君に言われたのは入試の2日前だった。遼子は「二人になるのは怖いから、先輩一緒にいてください。」と言う。それで、私は部室の前の階段のおどりばにいるからということを赤シャツ君にも了解してもらい、放課後の部室を貸すことにした。

「私に恋してるんじゃないよ。恋に恋してるだけよ。」遼子の大きな声が聞こえた。部室のドアを開けようかどうしようか迷っていると、「赤シャツさんは、いつも自分が一番大切。自分の受験勉強の息抜きに私が必要だった。悲しい顔して廊下に立ちすくんで、恋の詩を書いて、校内放送で流したりして、私の気持ちなんて考えたことないでしょ。まじめな優等生だから、今までなんでも努力してうまくいってたから、思いどうりにならない私を恨んでいた。だから校内で追っかけたりしたんでしょ。追いかける切なさをたのしんでいたんでしょ。私に恋してる自分に、恋していただけ。そして今日は受験の前日だから、なにか励ましたり、優しい言葉がほしかったんでしょ。私は自分にうそつけないし、心にもないことは言えない。あなたにも失礼だと思うから、本当のことをはっきり言うね。赤シャツさんのこと、はじめは尊敬していたけど今は大嫌い。顔も見たくない。早く卒業してほしい。あなたみたいに、思いやりのかけらもない人初めて見た。もう本当に、わたしも追いつめられているから、お願いだから何もしないで。   さよなら。」
最後は泣き叫びながら、ドアの前にいた私を押しのけて遼子は飛び出していった。
赤シャツ君は呆然と立ちすくみ、私を見ると背を向けて肩を震わせて泣いた。「苦しんでいるのは自分だけだと思っていた。」涙声でそう言い部室から出で行った。私は慰める言葉がみつからず、彼の背中に向かって、「明日のことだけ考えて、、、」と言い後が続かなかった。

二人がいなくなった部室に、飲みかけのコーラのビンが2本並んでいた。



お盆休みも終わり、お客さんも帰られ、またいつもの日常がもどってきました。
私も明日から仕事です。暑さに負けずがんばるぞ。




 
 
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