2005年09月13日

いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった    その6

自販機からゴトリと出てくる瓶入りのコーラ、学生の頃は毎日部室で飲んでた。
木製の、テーブルのような机と、丸いいす。コンクリートの壁には、誰がかいたのか
MICK JAGGERの顔の落書き。インクのにおいのする新聞部の部室。
14,5人の部員が放課後になるとコーラ片手に、わいわいやっていた。
その中に「赤シャツ君」と、遼子。そして私は部長として「全生徒に読まれる新聞作り」
を目指していた。

それまでの先輩達が作った新聞は、構成もワンパターンで、面白味のないものだった。
まず一面に校長か生徒会長のあいさつ文があり、二面は運動部の公式試合の結果報告記事、三面は卒業生からの受験についてのアドバイスなど、優等生の先輩達らしい硬いけれど、しっかりした文面になっていた。
私が部長になったとき、もっと生徒に読まれる新聞作りをしたいと思った。そのためにはこれまでとは違う、個性あふれる部員を集める必要があった。
「新聞部は記事を書くだけではありません。カメラと手帳を持って取材に走り回るのが主な活動です。時には記事とは関係なく、自分だけが取材したい誰かのもとへ、新聞部という名目で出かけることもできます。」新入生への部員勧誘でそんなことを言ったものだから、ユニークな部員が集まった。その中の1人が遼子だった。

私達が作った新聞の内容を紹介すると、春の号は高校入試の合格発表の現場を取材し、合格の喜びと、これからの学校生活への期待や、希望を新入生にインタビューした。自分の受験番号を見つけて喜びに輝く横顔の写真は一面にふさわしいものとなった。夏は各クラブの合宿を取材し、特に吹奏楽部の頑張りには驚かされ、顧問の先生との信頼関係が確立されていることを強調する記事になった。秋は体育祭、文化祭の影の力となった生徒にスポットをあてた。体育祭の看板やポスターを描いた美術部の部長、プログラムを組んだ体育委員、アナウンスとBGMを担当した放送委員。文化祭では、ロックバンドの演奏の許可を得るために校長に直談判したロックグループのリーダーへインタビューした。そして三学期の冬の号では「今年の10大ニュース」と題して校内で起きた様々な出来事をまとめた。三面の「あなたの大事なクラブをぼくにまかせてください」という卒業生に向けた特集は、各部のヒーロー、アイドルを見つける記事で生徒達に大いに喜ばれた。
その他にも全校生徒からのアンケートで、当時6割の生徒が毎日聞いていると答えた深夜放送についての特集、男女交際についての座談会、赤点を取った生徒の手記などこれまでとは違う観点の記事を載せた。ただ面白いだけの新聞になってしまわないように、将来の自分を考えるアンケートのもとに「君よ何者でありたいか」と言う記事も載せた。「新聞部のお薦め図書」コーナーでは、以外なことに父兄の方からお褒めの言葉を頂いた。私達の新聞は、「早く次の号を読みたい」と回りからせがまれるようになった。
自分の書いた文章が活字となり、印刷され、皆から注目されることはこれまで感じたことのない心地よさだった。締め切りがせまると私は授業中も原稿を書いた。140円の新聞が発行と同時に完売した。

高校を卒業してからは、しばらく遼子に会うこともなく、専門学校での新しい環境になじむことで精一杯だった。二年くらいたった秋雨の日、偶然町で遼子を見かけた。「遼子、元気そうね。」と声をかけると「先輩も。わあ、なんだかなつかしい。」と明るく笑って、「先輩今、私新聞部の部長なんですよ。新聞作りの面白さにとりつかれてしまって。先輩達が築いた「生徒全員に読まれる新聞」受け継いでいますから。まあ少し変わったことと言えば、私が部長になってから男子部員が倍増したことかな。」そう言っていつものいたずらっぽい瞳をくるくるさせた。
       
                                       つづく
この記事へのコメント
佐恵子さんは、新聞部におられたのですね。
だから、文章がうまいのですね(^O^)
私など、小学校の時から成績表は「3」
高校の時などは、赤点(古文)貰っちゃいましたあ。
ブログの記事書くのに何時間もかかってしまいます。
さて、赤シャツ君と遼子さんとの仲はもう終わりなのでしょうかねえ?それとも新たな展開が。。。。
おっと、あんまりあせらせてはいけない。。と
((((;^_^A
Posted by ひま at 2005年09月13日 19:11
ひまさん、読んでいただいてありがとう。
「赤シャツ」さんの物語は、その4くらいから
「今回で終わりにしよう」と思いながら書いているのですが、書いていくうちに、あれもこれもと
欲張って書いてしまってなかなか終わりそうにありません。もう一展開させて次回で最終にしたいと思っていますが、話の成り行きでどうなるか私にもわかりません。でも読んでくれる人がいて、張り合いがあります。
Posted by 佐恵子 at 2005年09月13日 22:25
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