2005年09月17日

いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった   その7

傘をさしたまま立ち話していると、雨がだんだん激しく降りはじめたので、私達は高校生の頃よく通っていた「カチューシャ」という喫茶店に入った。
「久しぶり、新聞部。」夜は学習塾をしている元教師のマスターに声をかけられる。カチューシャではコーラではなく、たいていいつもクリームソーダを飲んでいた。優しいマスターは、私達学生にはお弁当持込を許可してくれた。土曜のお昼はここでお弁当かパンを食べ、クリームソーダを飲んだものだった。その日も、昼間でも薄暗い喫茶店に若者がたまっていた。

「遼子、赤シャツ君とはあれからなにかあった?」と聞いてみた。
「それが、しばらくは一週間おきに手紙がきてたんです。内容はほとんど、ぐちっぽいことばかりで、淋しいとか、虚しいとか。大学の生活に失望したとか。それから今日聞いた曲とか書いてあって、それが「傘がない」、「心もよう」、「今日までそして明日から」、NSPの「さよなら」とかって、読んでいてつらくなるようなことばかりなんです。一度も返事は出さなかったけど、今でも忘れた頃に送られてくるんです。この頃は悪いと思いながら、読まないまま捨ててしまってます。読むのがつらくって、自分が責められてるみたいで。」
「そうか、大学生になっても遼子のこと忘れられないんだね、彼。」
「早く忘れてもらいたいんだけど。この前の体育祭も見に来てたみたいなんです。このまま無視し続けるだけでいいんでしょうか。時間がたてば私のこともだんだん薄れてくるんでしょうか。ただ時々手紙が来るだけだから、それも2,3ヶ月に一度くらいになっているから、返事が来ないと分かっていながら時々書きたくなるのかなと思って。」
「そうだね、遼子の心が自分に向かないことが分かれば、そのうち手紙も来なくなるんじゃないかな。恨んだり、責めたりするような人じゃないから、理性のある人だから、もう少し時間がたてば遼子のことも忘れられると思うよ。」
そんな話しをした後、遼子が今付き合っている大学生の彼のこともさんざん聞かされた。なんでもロックバンドのギターらしく、スポーツカーに乗っていて「赤シャツ君」とは対照的な派手な彼でライバルも多くて大変らしい。遼子のことだからそんな彼さえも自分のペースに巻き込んでしまうのだろうけど。この日も隣町の駅前で彼と待ち合わせらしかった。

その日遼子と別れてから、次に彼女に会うまでにさらに2年の月日が流れた。

                                     つづく

この記事へのコメント
は〜、なるほど
そうだよね、木綿のハンカチーフの逆バージョンになるわけだけど、離れていて、2,3ヶ月も返事がないのなら、いい加減あきらめますよね。赤シャツ君もそう悪くない男前のようだから、新しい恋を見つければいいのに。。。
Posted by ひま at 2005年09月17日 11:31
ひまさん、いつもコメントありがとう。
やっぱり「7」で終わりませんでした。
「カチューシャ」のこと思い出してしまって。
今はもうなくなったけれど。
「赤シャツ君」は今思えばなかなか心が男前な人でした。
でも若い時はそんな人には魅かれないものですね。
Posted by 佐恵子 at 2005年09月17日 22:30
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