2005年09月21日

いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった    その9

「遼子、出会った時から気になっていたんだけどその手首の絆創膏、もしかして、、、。」
「そうなんです。私、死のうとしたけど、そんな勇気もなくて。自分が惨めになるばかり。
私が死んだら彼悲しんでくれるでしょうか。一人が大丈夫じゃないと分かってくれるかもし
れない。私が純粋に真剣に彼に恋してたと分かってくれるかもしれない。」
「今は私が生きていること、ご飯を食べたり、眠ったりすることさえもいけないような気が
してる。私できることなら消えてしまいたい。」そこまで話して、また遼子は泣き出した。
私は、遼子の背中をさすりながら、「死んだらだめ。遼子がいなくなったら、悲しむ人が
いっぱいいる。第一私が悲しいよ。今日は思い切り泣いていいよ。私だけは、遼子の本当の気持ち分かるから。」と言った。
その日、遼子は家に泊まり、翌朝「先輩ありがとう、私つらいけど死なない。ちゃんと学校へ行ってなんとかやってみる。今は何をしたら良いのかわからないけど。また、話きいてくださいね。」と言って母の作った味噌汁をおいしそうに飲んだ。それから少し笑顔を取り戻し、帰って行った。

その後一月くらいたった小雪のちらつく寒い日、遼子は両手いっぱいの買い物袋をさげて私のアパートにやって来た。「先輩、一緒に鍋パーティしましょ。この前のお礼です。どうせ一人でわびしい夕食でしょ。バイト代入ったから、沢山買ってきました。」いつもの明るい笑顔だった。
私はビール、アルコールのだめな遼子はコーラで乾杯した。「高校生の頃、新聞部の部室で新しい新聞が完成するたびに皆でコーラで乾杯したっけ。あの頃、ひたむきで、楽しかったね。」思い出話をしながら暖かい鍋を囲んで、私達はお腹いっぱい食べた。

「先輩、私の二十歳の誕生日に、赤シャツさんから手紙がきたんです。見てください。先輩には読んでもらいたくて。私、ちゃんと返事出したんですよ。」
水色の封筒にはきれいな字で、遼子の名前が書かれていた。

                                     つづく
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